1930年に東京都芝に創業して以来、70年余りにわたり続いてきた多聞堂。現在は赤坂に移転した本社を中心に、古き良き物を残し、そして時代にあった額装を日々製作している。東京のど真ん中に店を構え、時代の最先端を捕らえつつ、店内のオフィスに面 した仕事場は今も昔と変わらぬ職人のアトリエとなっている。


初代社長である岡村辰雄は、当時日本の建築がちょうど日本家屋から現代の建物へと移行する時、『その中に飾られる美術品も様式を変えねば美しくない』という理念から、掛け軸にかけられていた絵画や書を西洋の様式を取り入れ額で装飾し、床の間のない現代建築の中に飾るという日本で最初の試みをした者である。そのため、1988年には建築家『吉田五十八』の特別 賞を受賞するまでに至った。

  

その後、建築まで含めた美と空間の演出を行うということで認められ、現在も宮内庁を始め、日本の文化を発祥する歌舞伎座、国立劇場、国宝である法隆寺の大壁画など他方面 にわたっての仕事を行っている。

現在は二代目社長である岡村孝三郎が、西洋で長年つちかった経験とセンスに加え、多聞堂の伝統を受け継いだ額装の製作に励んでいる。